厚生年金保険の支給開始年齢について3回に渡って説明してきたが、この年齢についてはいくつかの特例がある。今回はこれについて説明する。
その第一が障害等級3級以上の状態の人の特例で、これらの人は部分年金制度の適用を受けず、60歳から厚生年金保険の全額を受給できる。
これは障害者というハンデがある人に対する福祉的な意味の措置である。
第二には厚生年金保険の加入期間が44年以上ある人の特例である。この場合も部分年金制度の適用を受けず、60歳から厚生年金保険の全額を受給できる。しかし、60歳以上で退職していることが条件になる。従って継続雇用等で60歳以降も引き続き働く人は退職した時点で適用対象となる。この特例は中学卒業後切れ目無く勤め上げた人に対するご苦労さん的な意味合いの措置である。
第三には坑内員・船員に対する受給開始年齢の特例である。
これは坑内員・船員としての実際の加入期間が15年以上あるか又は特別加算(戦争時代等の困難な時代に坑内員・船員で働いた期間がある場合に勤続年数を加算する制度)をした後の加入期間が生年月日に応じて15年〜20年以上ある場合に生年月日に応じて55歳〜59歳で年金を受給できるものである。
これは昔の坑内員・船員は重労働であり60歳まで働くことが困難であったことに対応した措置である。対象生年月日は昭和29年4月1日以前生まれであるため、まだしばらくは適用できる制度である。
厚生年金は何歳からもらえるか−特例− 相模経済新聞 2008年1月10日掲載記事