厚生年金基金とは厚生年金とは別に、企業独自の年金を採用して福利厚生の向上を目指そうとする企業年金の一種である。昭和41年10月1日に制度化され、①年金上乗せによる働く人の老後保障の向上②増加する退職金の支払いを年金形式にして負担の平準化を図る等を目的に採用する企業は増加の一途をたどった。
厚生年金基金を採用した場合は厚生年金保険の報酬比例部分を基金が代行して運用し、その支払いも基金を通して行われるようになっている。年金相談をしていて勤続期間の割に年金額が少ないという相談がよくある。これは厚生年金基金のある場合がほとんどである。
厚生年金基金加入中の厚生年金の報酬比例部分は基金から支給されるため、国から支給される厚生年金が少なくなる。しかし、基金から支給される年金と合計すれば会社が上乗せした分だけ年金額が多くなるのである。
当初の基金運用利回りはあらかじめ設定した利回りを大きく上回り、代行分は企業の収益向上に貢献していた。しかし、昭和63年を境に不動産投資のバブルがはじけて長期不況に陥り、年金資産の運用が不振になった。年金支給額はあらかじめ決まっていたため(確定給付という)設定利回りを下回った分は会社が負担しなければならならず基金は企業にとって重荷になった。以上のような状況を反映して平成14年頃から厚生年金基金の採用を取りやめ、確定拠出企業年金(企業の支出を一定にし、運用を従業員の自己責任にする)に切り替える企業が増えている。
厚生年金基金について 相模経済新聞 2008年3月1日掲載記事