21.働きながら受給する厚生年金
高年齢者等雇用安定法の改正に伴い60歳定年であっても従業員が希望すれば事業主は継続して65歳まで雇用しなければならなくなった。このため、60歳以降も勤める人が増えている。定年前に比べ定年後は給与が減額となる場合が多いため年金がそれを補う重要な役割を果たす。
年金と収入の関係について説明すると第一には厚生年金・共済年金に加入しながら働くと受け取る年金額の調整を受ける。裏返せば厚生年金等に加入しないで働けば調整は無いということである。定年後の働き方として例えば週に3日の勤務1日4時間の労働というようにパートタイマー的に働く方法がある。1週間の労働時間が30時間未満の場合は厚生年金・共済年金に加入しないのが普通であり、この場合は年金額調整の対象にならない。また、小規模事業所等で厚生年金に未加入の事業所の場合は厚生年金に加入しないで働くのであるから労働時間や給与の額に関係なく年金の調整を受けない。
第二に年金額の調整は退職したと仮定した場合の年金額と総報酬月額相当額の組み合わせによって行われる。総報酬月額相当額とは年収を12ヶ月で平均した額である。
第三に調整された年金は退職すれば減額前の年金額に戻るので損は無いということである。年金相談の経験からすると減額となった年金額が一生続くと思って請求していない人も結構いるように思われる。国民年金の繰上げ請求と混同している場合がほとんどだ。
働きながら受給する厚生年金 相模経済新聞 2008年4月10日掲載記事