持ち主不明の年金記録が発生したもう一つの要因は手書きの記帳事務からコンピュータ化するときの作業に原因があった。同一人の記録を集めて打ち込んだわけであるが、クリップ等から外れて他人の記録の中に混入したり、操作時に名前や生年月日のインプットミスが発生した。 5,000万件といわれるこの持ち主不明の年金記録の解消を図るため、年金特別便を出すようになった。
最初に出されたのは名寄せ作業の過程で発見された1,030万件で青色のマークをつけた用紙で出されている。この先は名前生年月日が一致し、かつ、ブランクの箇所が重複しない先である。そういう意味では最も結果が出やすい先であるが、この特別便に対する回答の内10%だけが相違を指摘し、31%は訂正無しと回答し、残りは無回答であった。年金事務所から訂正なしと回答した先に電話したり訪問して話をするとその80%の先で不突合が発見されている。
不突合の事例を挙げると
(1)学生アルバイトで短期間働いた。
(2)戦争中に軍需工場で働いた。
(3)転職を重ねた間の短い勤務。
(4)名前の読み違い
(5)生年月日のインプットミス
等である。当初は相談者から会社名を言わなければ教えてもらえなかったが、現在は年金事務所で相談すれば会社の所在地、頭文字、業種等を教えてくれるようになっている。
特に(1)〜(3)は本人が年金に加入しているという意識がないため、自分では解決できないケースである。
番外2 年金得別便2 相模経済新聞 2008年6月1日掲載記事