労働・社会保険情報(24/11)
平成25年4月より労働関係法令が大きく変更になりますが、これについて概要を説明します。
1.高年齢雇用安定法の改正
現行制度
定年を60歳以上とする。60歳を定年とする場合は65歳までの継続雇用が義務付けられていますが、必ずしも全員を継続雇用する必要がなく、労使協定に定めた一定の基準に当てはまる場合に継続雇用することが可能となっています。
改正制度
定年を60歳以上とする。職員が60歳以降も働くことを希望する場合には事業主は全員を継続雇用する必要があります。ただし、就業規則の退職や解雇に相当する事由のある職員は継続雇用対象から除外することができます。経過措置として、平成25年3月31日までに継続雇用の対象者の基準を設けている場合、男性の厚生年金報酬比例部分支給開始年齢が61歳以上となる昭和28年4月2日生まれ以降の職員には継続雇用制度に定めた年齢基準を適用できます。
対応策
希望者全員の継続雇用を定めていない事業先で、就業規則の退職や解雇に相当する事由 のある職員を継続雇用しない旨を定める場合は平成25年3月31日までに就業規則を改定する必要があります。前述の経過措置を取り入れる場合も同様です。
2.期間の定めのある雇用契約の改正
現行制度
期間の定めのある雇用契約で、従事した業務が臨時的でなく労使ともにある程度長期継続の期待のある場合、かつ、契約更新手続きが形式的で自動継続を繰り返した場合には判例等により、期間の定めのない労働契約と同様の解雇手続きが必要になります。また、待遇面では実質的に正社員と同様の業務を行なっているパート職員については差別を付けないよう努力しなければならないことになっています。
改正制度
第一に、解雇については、前記の判例の内容が労働契約法に条文化されました。
第二に、待遇面では期間の定めのある職員と正社員とで、期間の定めのあることを理由に待遇面の差をつけることを禁止することとなりました。待遇とは賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、災害補償、服務規律、教育訓練、福利厚生等一切の待遇が含まれます。労働条件の相違が不合理と認められるか否かは次のことを考慮して判断されます。
①職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)
②当該職務の内容および配置の変更の範囲(今後の見込みを含め転勤・昇進といった人事 異動や
本人の役割変化等が含まれます。)
③その他の事情
第三に、期間の定めのある雇用契約を5年間継続すると、6年目に入って職員が申し込みを行った場合には、期間の定めのない労働契約となります。この場合、5年間とは平成25年4月1日以降に開始した雇用契約の更新が5年となった場合であり、それ以前は含まれません。
対応策
第三の有期雇用契約の無期契約課については5年先のことであり、当面は、第二の労働者の業務の内容や責任の程度、転勤や担当職務の変更替え等が正社員と同じ場合は賃金、福利厚生等で差を付けないよう留意する必要があります。また、平成28年8月10日付厚生労働省通達では例として、定年後継続雇用された労働者の労働条件が定年前の他の労働者と相違することについて、定年前後で職務内容、配置の変更範囲の変更されることが一般的なことを考慮すれば不合理と認められないと言っています。
3.障害者の雇用義務
現行制度
56人以上の事業所は1.8%以上の身体障害者・知的障害者を雇用する義務があります。
改正制度
50人以上の事業所は2.0%以上の身体障害者・知的障害者を雇用する義務があります。
4.その他
日雇い派遣の原則禁止が平生24年10月から実施されています。